通勤時間と幸福度の関係性とは
仕事に拘束される時間が長くなると自由に使える時間が減り、さらに身動きすら取れない満員の電車やバスに長時間揺られていると、「自分が一体何をしているのか」がわからなくなってしまいます。通勤そのものを苦痛に感じるようになり、同時に幸福度も下がってしまいます。
どのような影響を与えるのか?
通勤時間と幸福度の関係について様々な国で研究が行われています。スイスの研究者アロイス・スタッツァー氏とブルーノ・フライ氏は「人々が幸せを感じる通勤時間は20分ほどであり、通勤に1時間以上かかる人が、徒歩で通勤する人と同じ満足度を得るためには、その人よりも40%多く稼ぐ必要がある」と述べています。
つまり、年収が400万円だった場合、通勤時間が長い人はそれよりも160万円多く稼がなければ同じくらいの満足度が得られない、ということです。これは長い通勤時間は無駄に拘束されている時間と感じているため、疲労が増しやすくモチベーションも下がってしまうからです。
ボーダーラインは「60分」
苦痛だと感じはじめるのは大体「60分」を過ぎたあたりからです。実際、約40%の人が負担に感じています。また60分よりも長くなると苦痛に感じるだけでなく不安感も増す、と50%以上の人が感じています。そのため、通勤時間が長くなればなるほど日常生活に対する幸福度が下がってしまうのです。
また、通勤時間が長くなるほど睡眠時間が短くなる傾向があります。それは睡眠時間を削って通勤時間に充てなければ始業時間に間に合わないからです。人は最低でも7時間以上の睡眠が必要だといわれています。それよりも睡眠時間が不足していると自分の持つ本来の力を発揮することができず、人生の質も下げてしまう可能性があります。そう考えると、睡眠時間を削って長時間の通勤をするのはデメリットしかありません。
短すぎるのも良くない
理想の通勤時間は20分ほどといわれています。20分なら通勤のために睡眠時間を削ることもなく、満員の電車やバスに乗る時間も短くなるため苦痛を感じることがないからです。そのため、「通勤時間は短ければ短い方が良いのではないか」と考える人もいますが、短いなりにデメリットもあります。
例えば、職場のすぐ近くに家がある場合は通勤に時間はかかりませんが、職場の同僚や上司とバッタリ遭遇してしまう可能性が高く心が休まりにくい、休日でも仕事をしているような気分になる、といったデメリットがあります。長時間の通勤は心身に大きな負担をかけてしまいますが、ある程度の通勤時間はあった方が心を落ち着かせることができるでしょう。
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